第四巻 にっぽん製・潮騒・恋の都「にっぽん製」☆ 柔道家・栗原正は、パリの試合で勝利をおさめた帰路の飛行機内で 乗り合わせたデザイナー・美子が親身に老婦人の世話をする心優しさに惹かれ、 突然、彼女の店を訪れる。 パトロン・金杉の力で店を持ち、パリで学んだ後は、 早速、ファッションショーを開こうとしていた美子は、 栗原から、いきなり結婚を申し込まれて驚き、即座に断るが、 二人を取り巻く事態は思わぬ方へ転がってゆく… 「潮騒」 ☆ 歌島の若き漁師・新治は、島の分限者・宮田家に呼び戻された初江と恋に落ちる。 貧しくも雄々しい青年と美しい少女は、周囲の誤解を乗り越えて絆を深めてゆくが、 あるとき、宮田家の父親から厳しい試練を課されることになる… 「恋の都」 ☆ 朝比奈まゆみは浅田英学塾出身の26歳、美しく英語が堪能で、 ジャズ・バンドの有能なバックマネージャーをつとめている。 まゆみの元恋人は、日本の敗戦が決まった日に、皇居前で自決していたため、 今でも彼女は仕事でもよく接するアメリカ人全般と、恋に対して頑なな態度を崩さない。 ところが、あるアメリカ人が白檀の扇をもたらしたことから、 自らの恋に終止符を打つかどうか、決断のときを迫られ… |